舌下免疫療法とは

舌下免疫療法は、アレルギーとなる原因物質を含んだ内服薬を舌下に投与することで原因物質に対するアレルギーが現れないように体を少しずつ慣らしていく治療方法です。スギ花粉症、ダニのアレルギー性鼻炎で悩んでいる方を対象に、症状の軽減または根治が期待できるアレルギー免疫療法の一つで、従来の注射でおこなう皮下免疫療法にくらべて、痛みや副作用も少ない治療法です。

舌下免疫療法の効果

スギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎による鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどのアレルギー症状が軽減され、薬の服用量を減少させることが期待できまます。さらには、ほかの花粉に対するアレルギー発症予防や、喘息発症予防の効果、生のくだものや野菜を食べると口がピリピリするPFAS(※)への効果も期待できるとの報告もあります。しかし、すべての方に効果があるとは限りません。厚生労働省の発表では約8割の方に効果が現れています。

※ PFAS


花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome)は、口腔アレルギー症候群(OAS)のなかで感作アレルゲンが花粉の場合をいいます。

舌下免疫療法の開始時期

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は花粉飛散時期に開始できませんので、飛散が終わった6月から12月の間に開始します。

ダニのアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法においては基本的に一年中開始できますが、スギ花粉症をあわせもっている方の場合は飛散期が終了してからをお勧めします。

舌下免疫療法の治療期間

短期間の治療ではありません。1~2年間での効果を確認します。効果があれば合計3~5年間の治療を勧めています。効いているか否かも、1~2年みないとわかりません。また、短期間で治療を終了すると、治療終了後の効果が持続しないと考えられます。

舌下免疫療法は毎日服用しなければなりません。そして治療開始から年長期間(3~5年)継続します。

舌下免疫療法の対象年齢

スギ花粉症、ダニアレルギーともに5歳以上から開始することができます。症状を抑える薬を処方されており、毎日きちんと薬を服用できる方であれば、試みてほしい治療法のひとつです。

舌下免疫療法の副作用

口の中にアレルギーの原因となるものを入れますので、アレルギー反応がでる可能性があり、このような副作用を副反応と呼びます。舌下免疫療法開始直後や増量期に副反応が現れることがあります。ダニの舌下免疫療法の副反応は、スギ花粉症の舌下免疫療法よりも強くおこりやすいとされています。

気管支喘息とアレルギー性鼻炎の両方を持っているかたに舌下免疫療法を行なうと、気管支喘息の症状を一時的に悪化させる可能性があるため、しっかりと気管支喘息の症状がコントロールされていないと開始できません。舌下免疫療法中に気管支喘息の悪化があれば、一時的に舌下免疫療法を中断することもあります。

以下の副反応がみとめられることがあります。


<副反応>

  1. 口の中の腫れや口内炎などの口腔内のアレルギー症状
  2. のどのかゆみ
  3. くしゃみ、はなみず等の鼻炎症状
  4. 吐き気・腹痛などの消化器症状
  5. ぜんそくや息苦しさなどの呼吸器症状
  6. 意識消失などのアナフィラキシーショック

口の中の違和感や鼻炎症状がでた時には、普段の治療で使用しているお薬の併用は可能です。

ステロイド(副腎皮質ホルモン)の飲み薬の併用は免疫療法の効果を下げますので、常用している方は治療ができません。ステロイドの点眼・鼻噴霧・吸入・軟膏は併用可能です。舌下免疫療法治療中に薬の併用で心配なことがあればご相談ください。